2024/10/18 (FRI)

2024年度 立教大学映像身体学科学生研究会 スカラシップ審査結果

OBJECTIVE.

2024年度 立教大学映像身体学科学生研究会 スカラシップの審査結果、詳細、講評は以下の通りです。

1、審査結果

【 研究部門 】 採択 1 件


  • 『映画において成立する「演劇的時間」ージャン・エプシュタイン「フォトジェニー」論をめぐってー』小原 藍

【 制作部門 】 採択 1 件


  • 劇映画『 黄金の夜明け 』目黒 陽都

2、審査詳細

【 研究部門 】

■審査員
横山太郎、宮本裕子、宮川麻理子

◆一次審査
2件の応募があり、1件が二次審査に進みました。

◆二次審査
1件を審査した結果、1件が採択されました。

【 制作部門 】

■審査員
審査員:篠崎誠、砂連尾理、樋本淳、山田達也

◆一次審査
5件の応募があり、4件が二次審査に進みました。

◆二次審査
4件を審査した結果、3件が二次合格とされましたが、そのうち1件が三次審査の前に辞退し、2件が三次審査に進みました。

◆三次審査
2件を審査した結果、2件が二次合格とされましたが、そのうち1件が四次審査の前に辞退し、1件が四次審査に進みました。

◆四次審査
1件を審査した結果、1件が採択されました。

3、講評

各審査員からの講評は以下の通りです。

【 研究部門 】

研究部門審査員一同
今年度スカラシップ(研究部門)には2件の研究計画が申請された。うち1件は、制作部門ではなく研究部門に申請する必然性が不明確のため書類審査の段階で不採択とした。
もう1件について、書類審査において研究目的に学術的意義が認められること、実施計画と予算の関係が明確であることを審査員一同で確認した。面接審査では今回の研究の範囲がやや大きすぎるという問題点が指摘された。審議の上、研究計画の前半部分に焦点を絞ることを前提に、申請を採択した。

【 制作部門 】

砂連尾 理
目黒陽都さんの監督作品『DINING FELLAS』は役者の一人一人が非常に魅力的で、拝見したのはダイジェスト映像ではありましたが最後まで画面に惹きつけられました。それを成立させているのは彼のキャスティングセンス、また役者の魅力を引き出す演出能力が優れているのだろうなと思いました。また、この映画の何よりの魅力が画面一つ一つのショットでした。映画監督である黒沢清さんは映画監督の仕事の最も根本的なこととして「カメラをどこに(向けて)置くか、を決めること」と語っていますが、目黒さんが選択したショットからは登場人物の心の葛藤がどうやったら立ち上がるかをきちんと考えられて撮られているように感じましたし、それらの連なりから想起させる心理描写にも彼の映像センスを感じました。
今回、取り組むスカラシップ作品ではこれまでの俳優への演出、またカメラのショット技術を磨き、更にエモーショナルな瞬間が立ち上がる作品を期待したいなと思います。
樋本 淳
選考は難航したと言ってよいと思います。どの作品も非常に魅力的な側面を持っていた反面、具体的に制作・完成を考えた時の弱点も併せ持っていました。今回の審査では、応募者本人にその弱点を克服出来るかを確認しつつ、4回の審査会を行い最終的な決定をしました。
スカラシップ助成となった目黒さんの作品は、そうした審査の過程で進化していったと感じています。提出された過去作品を観る限り劇映画をつくり上げる実力は備わっていましたが、当初提出されたプロット、シナリオには様々な穴がありました。面接でも審査員からかなり厳しい指摘もありましたが、目黒さんはそれを正面から受け止めて修正をしていきました。そうした「映像をつくること」「映画をつくること」に対する真摯な姿勢、短期間での修正能力、今後の可能性、そして何よりも作品に内在するユニークな発想力が、彼に作品をつくらせたいという決断に繋がりました。
助成が決定したのですから萎縮することなく、思い切って制作に臨んで欲しいと思います。
山田 達也
現段階でのシナリオは「孤独感に苛まれていた青年が集団の一員となる事で、個人の意思が徐々に蝕まれ集団意志によって働く細胞のような存在になってしまう経緯を描きたい」という目黒君の根本的な主題が描ききれていないと感じます。全共闘運動が敗北し、だが形を変えて一種宗教のような姿で現代に存在する角帽会。もしかしたらどちらも同じように孤独と集団からの洗脳という問題をはらんでいるというスタンスで描かれているのかも知れないと思いました。
ただ、唯人と美香の関係性やその後の経過が中途半端な気がします、もうひと押し二人の関係性(利用し利用されつつ)の変化や展開、心理描写があって良いのでは。姉の登場や存在も少し唐突過ぎると感じました。特にラストですが、結局はさらに孤独感が深まり、唯人はそこからどうしようとするのか「どのようになっていくであろうと観客に思わせたいのか」が欲しい所ですね。
「個人—孤独—集団—洗脳—集団—孤独—そしてどうしていく」

シナリオに関してはまだまだ改稿が必要だと思いますが、私の選考理由の一つに提出成果物「Dining Fellas」「Prey on the Prowl」での映像の力強さを感じたところがポイントとなりました。
映像への変換の力は十分にもっていると思いますので、今後(夏休みから)のシナリオ改稿とそのブラッシュアップを大いに期待します。
追記
チャペルのシーンは「宗教的で荘厳な環境で撮りたいのだろうな」と思いますが1日間では無理があるかもしれません。制作的にはスケジュールや予算の見直しが必要です。チャペル以外の候補も再考してはどうでしょうか。
プロデューサーもしくはその役割を委ねられるスタッフの必要性を感じます。

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